【2024年6月】webで公開された読み切りマンガ5選

6月にwebで公開された読み切りマンガで面白かったものを5つ紹介する(過去の記事はこちらから→https://ryokageyama.com/blog/category/series/webcomics/)。webサイトでの公開時期が2024年6月となっているものが対象で、元々の発表媒体や時期は問わない。6月は『FEEL YOUNG』系のwebコミックサイト『OUR FEEL』が始まったのがニュースだったが、すでにやや遠い出来事の感がある。7月の記事は今月中に出したい。

堅貝「望みの卵が開くとき」(2024/6/3、コミックDAYS・第90回ちばてつや賞ヤング部門期待賞)

めちゃくちゃ良い。中盤からすごいことになり、そのままラストまで楽しく読める。動きのある場面の構図がとても気持ちいい。全体的に勢いとまとまり感が両立していて、今後の作品も楽しみ。

ヤンマガwebの講評を見たら「文字情報の調整や見やすいコマ割り、そして更なる画力の向上を目指しましょう」と書かれており、「マジか……」となった。絵も文字もみっちりしているのが良いし、コマ割りは細かいながら読みやすいけどな。なるべくこのまま好きに描かせてあげてほしいが……。)

ヤマシタトモコ「SUGAR GIRL」(2024/6/6、OUR FEEL)

『違国日記』完結後の最初の作品(のはず)。フキダシがコマを乗り越えてこちらに入ってくるのは怖いことでもあるというマンガ。終盤にかけてコマもフキダシもとんでもないことになる。それなりにマンガを読んできたつもりだが、それでもなお目に見えて新鮮な画面構成がありうることが嬉しい。30ページ足らずとも思えない。作家としての格を示された感がある。

鳴沢羽尾「陰陽道パラドクス」(2024/6/7、コミックDAYS)

今回の「愉快」枠。後半で登場するフニャフニャの白虎があまりにも良い。オカルト的な題材をコミカルに見せてくれるマンガが結構好きなこと、最近気づいた。あまり大真面目に描かれても怖いからな。

井上宗「初めての殺人」(2024/6/19、ビッコミ・第94回小学館新人コミック大賞佳作)

銃の所持や殺人が割と普通のことになっているらしい世界での出来事を描くが、その辺りの世界観の説明を一切省いているのが巧い。説明を排除し、絵と演出にこだわってコンパクトなエピソードを描くというのは、新人賞に出す読み切りにとって一つの正道だ。

浦部はいむ「あたしは人前でごはんが食べれません」(2024/6/21、COMIC MeDu)

会食恐怖症に悩む主人公の物語。今回の「凄み」枠。粗めの線が不安定感を醸しつつ、描写はドライ。怖いような、いい話のような、でもやっぱり胃が痛くなるような、そんな迫力がある。