『映画秘宝』マンガ新刊レビュー記事アーカイブ【「21世紀まんがジョッキー」連載中】

[2024年7月21日公開/2025年9月23日最終更新]
2024年の7月ごろから雑誌『映画秘宝』に新刊マンガのレビュー記事を寄稿しています。これまで書いた記事と取り上げたタイトルを下記にまとめていくことにしました。掲載誌の雰囲気も意識してはいますが、シンプルに当時の注目作を振り返るという意味で十分使える内容になっていると思います。公式ストア(https://hihostore.base.shop/)でバックナンバーが買えるようなので、気になる号があればぜひ。

2925年11月号(連載第13回)『ナイトメアバスターズ』『緑の予感たち』

タイトルは「型破りなマンガが集まる『トーチ』の世界 『ナイトメアバスターズ』『緑の予感たち』」。『トーチ』の紹介はいつかやりたいとタイミングをうかがってきたのですが、この月に出た単行本が3点とも見事だったので満を持して。ちなみにもう1点は『ツッパリ探偵怪人メルヘン心中』。めちゃめちゃ迷いましたが、龍村景一はまだ変身を残しているのではないかと思い、今回は他2点に。『緑の予感たち』はさすがに今年ベストかもという感じがしています。あらゆる瞬間が面白すぎる。

2025年10月号(連載第12回)『カッパのカーティと祟りどもの愛』『ギルデッド・セブン』

Vシネシリーズ『日本統一』の特集号。お恥ずかしながら全然知らなかったのですが、(ブロマンス的な文脈込みで)かなり人気のあるコンテンツとのこと。特集が充実していて勉強になりました。この号はファンの間でも話題になり結構売れている様子。雑誌に連載しているとこういう情報も得られるのが良いですね。拙稿タイトルは「はぐれものたちの弔い合戦 『カッパのカーティと祟りどもの愛』『ギルデッド・セブン』」。どちらも今後が楽しみなマンガです。

2025年9月号(連載第11回)『凪のお暇』『現象X 超常現象捜査録』

タイトルは「終わりなき「メークドラマ」 『凪のお暇』『現象X 超常現象捜査録』」。なぜか長嶋茂雄追悼の話から書き出してしまった謎の回。でも作品選びは会心の出来。『凪のお暇』は堂々とした完結ぶりでした。『現象X』はウィットでクールでウェルメイドな完全に自分好みの作品。かつ『秘宝』向きでもあるはず。

2025年8月号(連載第10回)『サンキューピッチ』『チハヤリスタート!』

タイトルは「転んでもタダでは起きるな『サンキューピッチ』『チハヤリスタート!』」。これまでで一番素直に話題作を選べた気がします。連載になってからジャンプ系(というか集英社作品)を紹介したのは『サンキューピッチ』が初めて。その後「次にくるマンガ大賞」も獲ってくれてよかった。『チハヤリスタート!』も今年かなり名前を聞いたタイトルで実際面白い。

2025年7月号(連載第9回)『次の整理』『人のために働く』

タイトルは「『ビッグコミックオリジナル』がオリジナルすぎる! 『次の整理』『人のために働く』」。ちょっと慣れてきたこともあり、かなり攻めた回に。以前スペースで話したときにふぢのさんが言っていた気がしますが、『オリジナル』系に変なマンガが集まりすぎている。読切「野球で話せ」も面白かった。

2025年6月号(連載第8回)『ありす、宇宙までも』『国を蹴った男』

タイトルは「出会うはずのない2人が出会うとき 『ありす、宇宙までも』『国を蹴った男』」。『ありす』はタイミングを逃しそうだったのでマンガ大賞にあわせてセレクト。時評として取り上げなかったらさすがにウソだろうという作品はやはりあるので。『国を蹴った男』は2025年の隠れた名作だと思います。

2025年5月号(連載第7回)『人間一生図巻』『よつばと!』

タイトルは「8ページの一生、5歳の22年 『人間一生図巻』『よつばと!』」。取り上げる作品は基本的に新作か完結作から選ぶようにしていますが、『よつばと!』は4年ぶりの新刊なのでさすがに良いだろうと判断。書きながらいがらしみきおもあずまきよひこも4コマ出身の作家だということに気づき、時間がテーマになるのは必然かもと思いました。

2025年4月号(連載第6回)『本なら売るほど』『ソラリス』

タイトルは「見てから読むか、読んでから見るか 『本なら売るほど』『ソラリス』」。本についてのマンガと名作SFのコミカライズというセット。『本なら売るほど』は非常によくできたマンガですが、それにしても予想以上に話題にヒットしているようで驚きました。リアル書店での平積み率が本当に高い。『ソラリス』はあの原作が本当にコミカライズできていて感心しました。

2025年3月号(連載は休止)

映画雑誌の名物年間ベストテン号のため連載はお休み。代わりにベストテンのアンケートに答えました。いかにも雑誌らしい企画なので参加できて面白かった。日本での劇場公開が無かったためランキングとは別枠で募集があったイーストウッド『陪審員2番』レビューもちゃっかり寄せてます。かなり面白い映画だったので。

2025年2月号(連載第5回)『宝石の国』『スターウォーク』

『映画秘宝』もアニメで特集を組む時代なのね、の号。実際、現行の誌面では自分の連載の隣に梁川ろんげさんによるアニメレビューのコーナーもあり、自然な流れだと思います。それはそれとして楳図かずお追悼の記事もいくつか載っていて結構面白い。拙稿タイトルは「宇宙の孤独、SF的想像力の極北 『宝石の国』『スターウォーク』」。星雲賞っぽいマンガが上手いタイミングで入れ替わるように出てきたなと思って選びました(『宝石の国』はその後本当に獲った)。

2025年1月号(連載第4回)『火の龍の国』『タワーダンジョン』

11月21日発売でもう2025年の号なの?と、雑誌の早め表記問題を実感しました(これは古い雑誌を調べているときにも混乱するし、実際の発売日がよく分からないケースも多くてマンガ史研究者としては困りがちな慣習)。タイトルは「龍の国と竜の塔、2つのファンタジー 『火の龍の国』『タワーダンジョン』」。最近いわゆる「異世界系」じゃないファンタジーを逆にあまり見ないような気がするので、そういう意味で健闘している「火の龍の国」を。『ヤングアニマルZERO』の骨太ファンタジーだと『ニキ。』も良いです。『タワーダンジョン』は3巻まできて明らかに読みどきなので気になっていた人はこのタイミングでぜひ。

2024年12月号(連載第3回)『AKIRA』『さらば、漫画よ』

タイトルは「さよなら東京、何度でも 全集版『AKIRA』『さらば、漫画よ』」。「東京が大変なことになる」マンガという繋がり。大友全集は当初からどこかのタイミングで取り上げようと思っており、いよいよ『AKIRA』が出始めたのでここしかないだろうと。『さらば、漫画よ』は正直ノーマークだったのですが、単行本が気になったので読んでみたところ大変に良いマンガでした。年末のランキング的なものに入っていて欲しい。

2024年11月号(連載第2回)『シンギュラリティ・ラブ』『写らナイんです』

タイトルは「見えないものを見る、爽やかなSFとホラー 『シンギュラリティ・ラブ』『写らナイんです』」。マンガでキャラクターからは見えない(ことになっている)イメージって結構よく出てくるよね、という表現論的な話を枕にしてみた回。コノシマルカの読み切り「空をわたる生き物」もあわせて紹介したところ、「記事で知って読んでみたら良かった」と言ってくれた知人がいて嬉しかったです。実際この読み切り作品はかなり良いのでぜひ。

2024年10月号(連載第1回)『異獣堂奇譚』『大怪獣ゲァーチマ』

連載「21世紀まんがジョッキー」が始まりました。初回タイトルは「異獣と暮らし、怪獣に憧れる 『異獣堂奇譚』『大怪獣ゲァーチマ』」。『映画秘宝』には(当たり前ですが)他にマンガの記事がほとんど無いこともあり、毎回2作品を取り上げるということに。やはり何かしら接点が必要だろうということで、非現実的な生き物(異獣/怪獣)が活躍する作品をセレクト。初回ながら(あるいは初回だから?)コンパクトにまとまり良く書けた気がします。この号は不吉零二さんが『ナミビアの砂漠』レビュー記事(マンガあり)を寄稿していて面白かった。

2024年9月号『ダンダダン』『アヤシデ 怪神手』『宙に参る』『室外機室』『オッドスピン』

最初は2024年上半期の注目タイトルを振り返る単発記事でした。取り上げたのは『ダンダダン』『アヤシデ 怪神手』『宙に参る』『室外機室』『オッドスピン』。全く意識していなかったのですが、ほとんどweb連載の作品ですね。(2024/11/21追記)

7月20日(土)発売の『映画秘宝』2024年9月号に短い記事を寄稿しました。「2024年上半期・注目のオッドなマンガ5選 この夏読みたい怪異と奇譚」と題して、今年の上半期に新刊単行本が出たSF・ホラー(ではないかも)・サスペンスなど「ジャンル」っぽいマンガの中からおすすめを5つ紹介しています。

記事は33頁からの「EXPRESS」というコーナーの中に入っています(このコーナーやたらと雑多で面白い)。編集の方には「twitterの投稿と多少内容が重複してしまうかも」とお伝えしていたのですが、結果的にほとんど被らなかったので、ぜひ記事で何を選んだか確認してみてください。