2025年4月より、京都にある同志社女子大学の表象文化学部で助教(有期)として勤めることになりました。日本語日本文学科の現代文化担当という位置付けで、マンガを中心に日本のポップカルチャーに関する教育・研究を行っていきます。
このポジションは昨年の夏頃に公募が出ており、「現代日本のポップカルチャー(マンガ・アニメスタディーズ)」というぴったりの分野だったのでダメ元で応募しました。自分は経験が浅いため難しいと思っていたのですが、結果的に採用いただくことになり大変驚いています。専門であるマンガ関係の内容で授業ができて任期も長め(5年)と、非常にありがたい話です。
ついこの間まで大学院生/研究員という感じだったので、今は教員としての仕事の感覚が早く掴めるよう色々と準備しているところです。そもそも自分の分野でそういった情報を得る機会があまり無かったなとも思うので、情報提供を兼ねて仕事内容などやや具体的に書いておこうと思います(着任報告だけして詳細が全然わからないのは何か不親切な気がしてしまうというのもあり)。基本的には公開されている情報から分かること(+個人的な憶測)ぐらいしか書きませんが、大学の職を目指している方など一例として参考にはなるかと思います。ちなみに基本的なことは(大学のHPに残っている限り)公式の公募情報(https://www.dwc.doshisha.ac.jp/employment_information/faculty/2025japanese01)からもわかります。
学科と分野について
同志社女子大学の表象文化学部は2009年に開設されています。それ以前からあった英語英文学科と日本語日本文学科で構成しつつ、狭義の「文学」に限らず幅広く「文化」に対象を広げていこうという趣旨かと想像します。こういった流れはポップカルチャー研究者としてはありがたいものです(もちろん当時は色々な意見があったはずですが……)。
このような趣旨を受けて、その後「文化」専門の先生が増えてきたようです。現在は、近世を中心に物語性のある絵画表現を研究されている宮腰先生と、小津安二郎を中心とする映画研究が専門の宮本先生がいらっしゃいます。今回の公募も、絵画/映画の次はいよいよポップカルチャーという流れだったのではないでしょうか。このあたりは本当にタイミングとしか言いようがないなと思いました。
最近はどこの大学でも文学系の学部学科は学生の関心に応じて対象を広げていく傾向にあるようで、マンガ研究者の方でもそういったところで教えているケースは多い印象です。ただ、これまでは「現代文化」や「メディア文化」のような名称がついた比較的新しい学科が多いイメージで、「日本文学科」という枠組みのままポップカルチャー専門の教員を採用するパターンはまだ珍しいような気がします。こうした例は今後増えていくのかもしれません。
業務内容について
現在、大学の専任教員の職位は一般的に教授/准教授/講師/助教となっています。補佐的なスタッフとして助手などが置かれている場合もあります。助教は、ある程度主体的に研究・教育ができる最初の職という感じでしょうか。とはいえ大学や学部学科によって実態は様々で、研究メインの場合や大きな研究室のスタッフという感じのケースもあるようです。自分の場合はかなり「教員」寄りだと思います。
授業は専門の講義に加えて3年生のゼミや学科共通の1年生向け科目などを担当予定で、前期も後期も週4-5コマ程度です。1年目なのでだいぶ少なめで、今後7-8コマぐらいになっていくのかなと予想しています(私立大学なので国立大学の先生よりは多いようです)。校務(各種委員など)も多少あるとのことですが、当面はそれほど重くはなさそうです。しばらくはとにかく授業を作って進めていくことに集中する期間になるかと思います。
環境について
同志社には、今出川キャンパスと京田辺キャンパスがあります。学部によって分かれる形で、自分の所属する表象文化学部は今出川キャンパスになります。今出川は京都の中心部のやや北寄りというあたりで、大変便利なエリアです。アクセスの良い街中ですが、すぐ南にある京都御所など自然豊かでゆったりした雰囲気もあります。面接のために訪れた際も、ここまで魅力的な立地のキャンパスは全国的にも珍しいのではないかと思いました。京都国際マンガミュージアムがある烏丸御池も地下鉄で2駅なので、マンガ研究者的にもありがたいです。研究室があるのも授業を行うのも基本的にこちらのキャンパスになります。
研究室はいわゆる人文系の大学教員の部屋という感じで、壁が本棚になっているような個室をいただいています。自宅の本がスペース的に限界に近づいていたので大変助かりました。まだ本とPC用モニター(とコーヒーセット)を入れたぐらいですが、せっかくなので少しずつ充実させていきたいなと思っています。
駒場通いが大変長かったこともあり、このタイミングで京都に移って来たのも新鮮で嬉しいポイントです。桜の季節で人は増えてきましたが、いわゆる観光エリアを避けたり時間帯を工夫したりすれば、今のところそれほど大変なことはありません。何にしても東京の満員電車に比べればはるかに快適です。京都の街も楽しみながら頑張っていければと思います。