2023年4月より日本学術振興会特別研究員(DC2)になりました

日本学術振興会という組織があり、この組織が運営する特別研究員という制度があります。大学院博士課程在学中から博士号取得直後にかけての若手研究者を毎年一定数採用し、数年間、生活費に相当する研究奨励金と研究目的に使える科研費を支給するものです。特に人文系の大学院生にとっては、研究の対価として生活費が得られる数少ない機会となっています。2023年4月より、この制度の「特別研究員(DC2)」という博士課程学生向けの枠に採用されました。4月末ごろに公表された採用者リストで名前を確認するまでは、何か手続きに遺漏があったのではないかと不安な気分にもなりましたが、特に問題はなかったようです。ちなみに、研究テーマは「マンガにおけるテクノロジー表象の歴史的研究:科学技術イメージとマンガ表現の関係」となっています。

2年の任期とはいえ安定した収入が見込め、研究費も出るため、通ればもちろんありがたい制度ですが、申請書の作成や審査など、大学院生に何かと憂鬱な気分をもたらしてもいます。かくいう私も前年度のDC2には落ち、2年目の申請で採用となりました。正直、自分としては1年目で研究計画などかなり練ったつもりだったので、今回は半ばやる気を失い、細かな表現の修正や1年分の業績の追加などを行った程度で、大枠はほとんど変更せずに提出しました。それで通ったのは、一本でも査読論文があることが効いたのか、はたまた審査の機微なのか、一申請者に過ぎない私には知る由もありません。

そういうわけで、学振申請書の(有効な)書き方などは分かりませんが、採用された申請書がどのようなものだったかは、ある程度参考になるかもしれません。私は「美術史関連」という区分でマンガ史についての研究計画を出しましたが、近い分野・内容での採用例が身の回りになく、どの程度のテンションで書けばよいか、かなり迷いました。特にマンガやアニメなどポップカルチャー関連の研究計画で申請を考えている方は、似たような難しさがあるのではないでしょうか。あくまで「これでも通るときは通る」という一例に過ぎませんが、ご要望があれば申請書をお送りしますので、ご活用ください。

広く公開するのは気が引けるため、メールでもtwitterのDMでも構いませんので、直接ご連絡いただければと思います。面識のない方でも大丈夫ですが、自分が何者でどのような状況なのか、簡単で構いませんのでお知らせください。前例が少ないために申請書が書きにくく、その結果ポップカルチャー研究に予算がつきにくいという事態は私にとっても不利益なので、研究分野が近い方は特に歓迎します。もちろん他分野の方でも、事情があれば対応します(特に事情がない場合、ちょっと怪しみますが、おそらく対応します)。

面白いもので、やはり科研費がついたことでいくらか社会的責任も感じています。予算を使って研究成果の発表などできたらいいなと思っていますので、またよろしくどうぞ。