先月にwebで公開された読み切りマンガで面白かったものを5つほど紹介する。前回2024年2月はこちら。webサイトでの公開時期が2024年3月となっているものが対象で、元々の発表媒体や時期は問わない。今回は特に遠兎慈「異星の新友」の画面構成が面白かった。また、「となりのヤングジャンプ」が開催している「スピード漫画賞」の受賞作としてwebで公開されたもののうち、すでにコミティアで入手して読んでいた2作品も番外として挙げておく。
Contents
- かもがわ圭「大事な話がある。」(2024/3/1、webアクション)
- 遠兎慈「異星の新友」(2024/3/21、ジャンプ+)
- 三味「メイドの掃除屋さん」(2024/3/21、コミックDAYS・モーニング月例賞2024年1月期奨励賞)
- 中島佑「ODD FUTURE」(2024/3/31、コミックDAYS、2015年後期第68回ちばてつや賞一般部門大賞)
- 中野幸生「CRY MORE」(2024/3/15、ジャンプ+)
- 番外1:ちょめ「パティスリー・ヘクセン」(2024/3/18、となりのヤングジャンプ・COMITIA147「4時間スピード漫画賞」大賞)
- 番外2:朝日奈麦「ほうせんか」(2024/3/18、となりのヤングジャンプ・COMITIA147「4時間スピード漫画賞」期待賞)
かもがわ圭「大事な話がある。」(2024/3/1、webアクション)
マンガは、テンポが良くて話の流れと演出がスムーズであれば、最終的にはめちゃくちゃになっても別に全然いいということがよく分かる。全力で逃げ切るタイプの読み切り。
遠兎慈「異星の新友」(2024/3/21、ジャンプ+)
画面全体がマンガ表現としてのアイデアと遊び心に満ちている。全ページ良いのだが、特に決定的瞬間でフキダシが隠れ家になるところ、感動するほかない。
三味「メイドの掃除屋さん」(2024/3/21、コミックDAYS・モーニング月例賞2024年1月期奨励賞)
なんか面白い、のだがうまく説明できない。設定は面白いがそれだけで勝負するという感じではないし、会話も面白いがそれだけでもなく、展開も面白いがそこが重要なわけでもない気がする。的を絞らせない力の抜け具合が良いのかもしれない。
中島佑「ODD FUTURE」(2024/3/31、コミックDAYS、2015年後期第68回ちばてつや賞一般部門大賞)
シリアスになりすぎないギリギリのところでドラマを描き切っている。もっと生々しく、あるいはもっと露悪的になってもおかしくない内容だが、終始軽さと爽やかさが保たれていて良い。
中野幸生「CRY MORE」(2024/3/15、ジャンプ+)
大変よくできた読み切り。非常にリーダブルで80頁もあるとは思えない一方で、内容的には単行本1冊分ぐらいあるのではとも感じる。巧みな構成と切り詰められた描写のなせる技だ。
番外1:ちょめ「パティスリー・ヘクセン」(2024/3/18、となりのヤングジャンプ・COMITIA147「4時間スピード漫画賞」大賞)
この作家さんは、ここのところコミティアで毎回のように驚くべきクオリティの同人誌を出している。今回の作品はカラーでまた驚いた。水彩(調)の画面が、色とりどりのケーキと静かな冬の空気を見事に描き出している。
番外2:朝日奈麦「ほうせんか」(2024/3/18、となりのヤングジャンプ・COMITIA147「4時間スピード漫画賞」期待賞)
この作品については、以前のコミティアについての記事でも紹介している(2/25(日)のコミティア147に向けて、146で入手した本をまとめておく回)。終始張り詰めた緊張感がありつつ、ラストはどこか爽やかで良いマンガだ。